ドル円(USD/JPY)のFXトレードで重視すべき経済指標とは?抑えておきたいポイントも解説

ドル円(USD/JPY)のFXトレードで重視すべき経済指標とは?抑えておきたいポイントも解説 FXの基礎知識

FXの為替レートは、経済指標の発表時に大きな値動きをする可能性があります。ドル円でのトレードには、経済指標の注視が欠かせません。重視する経済指標は主に、雇用、物価、景気、金利に関連したものです。重視すべき理由や代表的な経済指標の解説、抑えておきたいポイントまで、わかりやすくご紹介します。

ドル円トレードで重要視すべき経済指標は?

ドル円トレードで重要視すべき経済指標は、主に雇用、物価、景気、金利に関するものです。

  • 雇用に関連した指標…雇用統計(失業率や就業者数などの雇用情勢)
  • 物価に関連した指標…物価上昇率(小売価格の変動を調査、測定)
  • 景気に関連した指標…景況感調査(景気の状態、消費の動向を調査)
  • 金利に関連した指標…金融政策(政策金利、中央銀行や政府が定める金利)

経済指標など各国の経済状況を示すデータは、ファンダメンタルズと呼ばれています。ファンダメンタルズを用いて、国や通貨の経済的価値を分析する手法を、ファンダメンタルズ分析と呼びます。

ファンダメンタルズ分析は、各国の経済状況を把握するためにとても有用です。その国の公式発表でもある経済指標は、外国為替市場をはじめ、金融マーケットに大きな影響を与えるものです。

それではドル円トレードで抑えておきたい、代表的な経済指標をご紹介します。

米国雇用統計

米国雇用統計とは、失業率や雇用者数などの雇用情勢をまとめた指標のひとつです。米国の労働省によって、毎月発表されています。雇用情勢は、個人の所得や消費に影響が及ぶことで景気の動向にも関わるため、トレードをするうえで欠かせません。

米ドルは世界でもっとも流通している硬貨であり、中心的な役割を担っています。もちろん、値動きがあればマーケットに大きな影響を与える存在です。米国雇用統計は、相場の変動を確認するための数値として、もっとも重要視されている経済指標です。

消費者物価指数(CPI)

消費者物価指数は、消費者が日常的に購入する商品や、サービスの小売価格の変動を示した指標です。同等のものを購入した場合に、前回から費用がどのように動いたかを表します。

物価の変動から消費者の動きを見ることは、経済の動向にも直結します。見極めがとても大切であり、重要な経済指標のひとつです。

ISM製造業景況感指数

ISM(供給管理協会)が米国の製造業350社の担当役員にアンケート調査を実施し、結果を用いて作られた景況感を表す指数です。景況感とは、景気の状態を意味します。指数が低ければ、景気が悪く消費活動も抑えられていると見られ、反対に指数が高ければ、景気が良く消費意欲が高まっていると予測できます。

連邦公開市場委員会(FOMC)

連邦公開市場委員会は、米国の金融政策を決定する会合のことです。年に8回開催される会合で景気の状況を判断し、政策金利の引き上げや引き下げをして調節を行ないます。マーケット関係者や投資家にとっては金融政策を予想する大きな手段であり、経済指標の中で最重要視しているとも言われています。

日銀金融政策決定会合

日銀金融政策決定会合とは、金融政策の運営に関することを審議、決定する会合です。連邦公開市場委員会と同様、年に8回開催されています。貸付利率や預金準備率、割引率などの政策金利の上げ下げを決めるほか、金融政策の方向性についての話し合いが持たれます。

会合の終了後、すぐに決定内容が発表されるため、市場関係者が注目を集めるイベントのひとつです。

経済指標以外に注目されるもの

ファンダメンタルズ分析では、経済指標の他に、要人の発言にも注目する場合があります。大統領や首相といった国の代表者による発言は、経済状況にも影響を与えかねません。相場変動が起きる可能性があるため、重要視されるひとつとなっています。

他にも紛争やテロ、災害など相場変動の要因になるものはありますが、ファンダメンタルズ分析では、主に経済指標と要人発言に注目することが多いので、トレードのときは参考にしてみてください。

ファンダメンタルズ分析の注意点

ここでファンダメンタルズ分析の注意点を、3つご紹介しておきましょう。

  1. 短期目線でのトレードには不向きである

各国の経済状況や指標から見る分析のため、中期~長期的な取引に向いています。

  1. 相場の価格変動に影響しない場合もある

価格変動に直接影響を与えることは、ごく一部であり、情報の見極めが肝心です。

  1. 価格変動の予測時は自分の考え方に執着しない

決め手となるものや判断基準がないため、自分の考えに固執せず客観的で冷静な分析力が重要になります。

ファンダメンタルズは、入手するまでのタイムラグがあることで判断を誤るおそれがあり、活用するのが難しい特徴を持っています。より正確な分析をするためには、3つの注意点を意識して、経済指標やチャートをこまめにチェックする日々の積み重ねが大切です。

経済指標で抑えておきたいポイント

ドル円トレードを行う場合、経済指標は欠かさずチェックしておきたいものです。抑えておきたいポイントとして、経済指標は一般的に、予測される発表数値と結果値が大きく開いたときに、相場の変動が起きるとされています。注目度が高く重要視される指標であるほど、値動きしやすい傾向にあるという点は覚えておきましょう。

経済指標の見方

経済指標はどのようにチェックしたらいいのでしょうか。実際に経済指標を見るときのポイントを4つ挙げてみましょう。

  • ドル円トレードに関連した経済指標の発表を確認する
  • 市場で予想された値を確認する
  • 予想された値と結果の違いを比較する
  • 前回値(前月比、前年当月比)と比較する

外国為替トレードでは、予測された経済指標の数値と実際の発表値から、国の経済状況を判断し、結果によって通貨を交換します。国の成長度が高ければ通貨を買い、反対に失速していれば通貨を売るというしくみです。

上記でご紹介した4つは、取引を行ううえで非常に重要になるポイントです。なかでも、複数回発表がある経済指標の場合は、速報値がもっとも重要になります。また、発表時間に気をつけるという点も覚えておいてください。

経済指標を知る方法

経済指標の見方とあわせて知っておきたいのが、経済指標を知る方法です。情報収集には、大きく分けて2つあります。

  • 経済指標カレンダーを活用する
  • TVやニュースサイト、SNSで仕入れる

経済指標カレンダーは、経済指標発表の日程が分かるカレンダーです。発表時間、前回値、予想値から結果まで知ることができ、取引時に重宝する大変便利なツールです。各FX会社や投資情報を発信する企業が提供しているので、トレードをする前にカレンダーを見る習慣をつけておくと良いでしょう。

経済指標をチェックすることは、ファンダメンタルズ分析の一助として活用するだけでなく、「エントリーを見送る」「決済を早める。」などの危機回避にも有効です。

SNSはもっとも早く情報が入手できる可能性があります。SNSの中には、流出情報やコアな発言もありますが、個人的な見解も多く、真偽を確かめる術もありません。情報に振り回されず、冷静な判断が求められます。

他には、一般のテレビニュースやFX専門のチャンネルから情報を知る方法もあります。プロトレーダーが活用している、最新情報がわかる有料サービスを契約するのも、ひとつの手段です。一般のテレビニュースの場合は、他より情報が遅れる傾向があるので注意しなければなりません。

ドル円トレードで長期的な利益を生むためには、経済指標の発表時は必ず確認し、相場の動きを読むことを意識しましょう。

経済指標の発表時にトレードしない

トレードに慣れていない初心者の方は、経済指標発表時の取引は行わないことも、賢い選択のひとつと言えます。マーケット側が、発表される数値を予測したうえで

為替レートに反映している場合があり、結果の良し悪しに関わらず変動があまり起きないケースもあるのです。

発表時の値動きは、いつもと違う動きをする可能性もあるため、プロトレーダーでも予測が難しいと言われています。経済情報は、相場変動を判断するうえで重要なですが、分析に絶対はありません。

はじめのうちは、発表時の取引はしないといった対策を取ることも、リスクを避けて長期的に続けていくポイントと言えるでしょう。