FXトレードにおいて、最も難しく奥が深い利確。
利益を伸ばすために引っ張りすぎても反転され、利益を逃さないために早すぎてもチャンスを逃してしまうなど、利確はタイミングが非常に難しい作業です。
ここでは、利確のやり方や、ちょっとしたコツ、やってはしけない利確3選などを紹介しようと思います。
しっかり利確を勉強し、みなさんもぜひ利確マスターになってください。
損切り方法も確認したい人はこちらの記事を参照ください。

利確はFXでもっとも難しい作業
利確とは?
FXでは基本的に「エントリー」・「エグジット」の、2つの行動を繰り返してトレードをおこなっていきます。
エントリーとは新規でポジションを保有する行為、エグジットとは保有しているポジションを決済により解消する行為です。
そしてエグジット(決済)は、損失を確定させる「損切り」、利益を確定させる「利確」の2種類が存在します。
エントリー・利確・損切りの全てにおいて、各トレーダーが決めているルールに則っておこなうことが大切です。
利確はもっとも難しい作業
FXトレードにおいて、多くのトレーダーがこだわりを見せるのがエントリーであることが多いと思います。
しかし、最も難しく最も大切なのは決済。
決済によって損益が確定する以上、決済という行為はFXでの収支に直結する作業となるのです。
損切りについては、エントリーの根拠が崩れた場合に、損失を最小限に抑えるためにおこなう作業であるため、エントリーの時点で損切りポイントを明確にすることができます。
しかし利確については、「損小利大」というよく目にする言葉のように、「利」はできるだけ伸ばさなければならないのです。
しかし、伸ばそうとしたら反転されたような経験は、多くのトレーダーが味わっているでしょう。
利確を先延ばしにするという行為は、利益を伸ばせるチャンスでもあり、利益を減らすことや、最悪の場合損失に変わるリスクも背負うことになるのです。
聞けば聞くほど、利確が難しく思えてくるかと思いますが、次の章からは、最大限に利益を得るための「利確のコツ」を紹介していこうと思うので、参考にしてみてください。
利確は早すぎても、遅すぎてもダメ
FXの利確において、タイミングは非常に重要な要素となります。
早すぎてもダメ、遅すぎてもダメなのです。
安全に最大限の利益を確保するためには、丁度いい利確ポイントを見つけ出す必要があります。
次のチャートを見ながら、早すぎず遅すぎない利確ポイントについて考えてみましょう。

上記画像の場面では1波が伸びた後、2波が1波の38.2%近くまで押し目をつけています。
一時的に三角持ち合いのような形になり高値が切り下がっていますが、安値が固く高値切り下がりラインをブレイクした画像の場面でエントリー。

エントリーから状況を整理し、利確候補を決めてみます。
まずは直近高値ラインの利確候補1の場合、損切りラインと1対1以下になってしまうためリスクリワード的にNGです。
利確候補2の場合、3波始点に1波と同じ長さのラインを当ててみました。
3波目であれば1波よりも伸びる確率が高くなるため、安全でリスクリワードも良い候補となります。

その後のチャートでは、候補1をあっさり抜け、一度小さな押し目をつけて候補2まで到達しました。
候補2に到達した後は、高値を切り下げることになり三尊の形が完成しています。
結果的に、候補2が丁度いい利確目標となりました。
利益を逃さない利確の方法
先に述べたように、利確を確実に行うことで、FXの収支は大きく変わってきます。どのタイミングで利確することがベストなのかは、その時の相場環境に合わせる他ありません。
ここでは、2種類の利確方法を実際のチャートを使って解説します。
手法1:エントリー前から決めておく
まず紹介するのは、教科書通りの始めから利確ポイントを決めておくパターン。
エントリーの時点で利確ポイントを決めているため、特に焦ったりすることなく利確することができます。
初心者の方や利確が苦手な方は、まずこの方法を試してみることをオススメします。
パターン1

まずは、大きな下落から上昇の兆しが見えたのでロングエントリーしたチャートです。
利確目標は直近の大きな高値に設定しました。

一度大きな押し目をつけましたが、利確目標に到達し予定通り利確することが出来ました。
ここでのポイントは、大きな押し目をつけた場面でチキンを利確しないことです。
パターン2

次は下落後に大きく上昇したが三尊を形成し、ネックラインを下抜けしたところでショートエントリー。
利確目標は、オーソドックスな直近安値にしましょう。

結果は勢いよく下落したため、すぐに利確目標に到達しました。
その後はさらにもう少し下落しましたが、リスク管理も必要なため直近安値での利確が安全です。
手法2:トレード中に裁量で決済
トレード中に裁量で決済するパターンは、少し上級者向けの利確方法になります。
チャートを見つつ臨機応変に対応する必要があるため、安定したメンタルと素早い分析能力が必要。
こちらの利確方法は、利益を最大まで伸ばすことができる反面、失敗すると利益を大きく減らしてしまうこともあります。
パターン1

上記のチャートでロングエントリーした場合、どのように裁量で決済するか考えてみましょう。

順調に上昇していきましたが、高値・安値が切り下がったところで決済しました。
切り下がったところで決済しているため、最大利益を獲得することが出来ませんでしたが、安全に利益のあるところで「逃げる」ことも一つの方法となります。
パターン2

次のチャートではエリオット3波目を狙い、2波終了がほぼ確定と言える黄色ラインからロングエントリーしました。
利確目標は、直近高値・1波の長さを3波目始点に当てた終点地点。
今回は、ある程度のゾーンの中で臨機応変に対応することにしました。

その後は、ゾーンの上限付近まで危なげなく上昇しました。
直近高値に反応し4波と思われる下落が発生したので、3波目の最高地点で利確することが出来ています。
やってはいけない利確の方法3選
金額ベースで決済
「金額ベースで決済」という決済方法は、利確でも損切りでも最もやってはいけない決済方法です。
FXでトレードをおこなうほとんどのトレーダーは、テクニカル分析orファンダメンタルズ分析によりエントリーをおこなうでしょう。
しかし金額ベースで決済という決済方法は、このどちらにも当てはまらず、ほぼ無根拠の決済となってしまいます。
もはやチャートを見てないも同然の決済方法となり、金額を見ることで心理的な理由で決済していることになるので、相場分析とは全く関係のない根拠での決済なのです。
よく金額ベースで決済をおこなってしまうトレーダーは、エントリーから決済完了まで、金額を見ずにトレードしても良いかもしれません。
エントリー手法と別の手法での利確判断
FXでは基本的に、同じ根拠を持ってエントリーと決済をおこなう必要があります。
別々の根拠を持ってエントリーと決済をおこなってしまうと、整合性が保たれたトレードとは言えず、トレードルールの有効性が疑われるのです。
MAでエントリーしたならMAで決済、チャートパターンでエントリーしたならチャートパターンで決済というのが基本になります。
しかし例外もあり、基本を理解した上で、あえてエントリーと決済に違う根拠を用いることが有効な場合もあります。
さらに、複数の根拠を併用して使うことも有効となり、一つ一つの根拠を深く理解した上で併用することは有効な手段です。
しかし初心者の場合、まずは複雑な利確根拠を使わず、整合性の取れたシンプルな利確根拠を用いることをおすすめします。
チキン利確
何度もお伝えしている通り利益は伸ばす必要があります。
そのため、あらかじめ決めていた利益確定ポイントに満たない段階での利確をおこなってしまうチキン利確は、基本的にNGです。
トレンド転換のサインが出現した場合や、エントリー根拠が崩れた場合には、あらかじめ決めていた利確ポイントに満たない場合でも利確する必要があります。
しかし、「なんとなく反転しそう」や、「せっかくの利益を減らされたくない」などの、消極的なメンタルで利確をおこなってしまうことはよくありません。
どのような場合であっても、根拠のあるロジカルな利確を心がける必要があるのです。
FXの利確のコツ

ここまで読んでいただいた方には、FXでの利確が非常に難しい作業であることがわかっていただけたと思います。
何事も経験を積んでいくしかない部分も大きいのですが、ちょっとしたコツを掴むだけで、劇的に変化する場合もあるのです。
ここでは利確についての、”ちょっとしたコツ”を紹介してみます。
エントリー前から決めておく場合
エントリー前から利確を決めておく場合、うまく利確をおこなうためには、エントリー前の環境認識が非常に大切になってくるでしょう。
利確位置を環境認識から決めることが多くなるため、利確がうまくいくかどうかは、環境認識の精度が直結してきます。
環境認識・エントリー・損切りポイント・利確ポイントの辻褄が合っているか(整合性が取れているか)を、エントリー前に確認してみてください。
うまくいっていないトレーダーは、なにか一つの動作だけよくわからない根拠になっていたり、適当になっていたりすることも多いのではないでしょうか。
エントリー前に全ての辻褄が合った上でトレードをおこなえば、利確だけでなくトレードそのものの精度が大きく上がることになります。
トレード中に裁量で決済する場合
トレード中に裁量で決済する場合は、感覚的な部分も必要になってくるため”コツ”というよりも、経験が物を言う手法になります。
トライアンドエラーを繰り返し、感覚を身につけていくことが一番の近道です。
そんな中でも一つポイントを上げるとしたら、しっかり使いこなせるまではデモトレードか少額のトレードで練習してください。
裁量での判断になるため、メンタルにも大きく影響されやすく、金額に惑わされやすくなる手法になるからです。
まずはリスクをかけずに成功体験を積むことにより、自信を持ってトレードをおこなえるようになります。
まとめ
今回は、FXトレードの中でも非常に難しく奥が深い、利確について紹介してみました。
大きく分けて2種類の利確方法があり、どちらにも良い点悪い点が存在します。
どちらの方法が良いかは、トレードスタイルや性格・環境によっても変わってくると思いますが、どちらの方法でも常に冷静な判断を求められるのです。
非常に難しい利確という作業ですが、”利確マスター”になれるように、多くの成功体験を積んでいってください。