トレードする時に環境認識できてますか?
初心者やFXを始めたばかりの方にとっては、「何それ?」「何やっていいか分からんわ」と言う方もいらっしゃるでしょう。
SNSや本、セミナーで「環境認識が大事だよ!」「しっかりやらないと負けちゃうよ」と言われるので難しく考えてしまうのです。
ですが、チャートを開いていきなりトレードする人って居ないですよね。
少なからず、上に行くのかな?下落かな?
それともサポート強そうだから、ここで拾って…
と考えているはずです。雑に言うなれば、それ環境認識ですよ!最初から誰しもやってるんです。
FXにおいて環境認識はもっとも大事です。それが意識的にであれ、無意識的にであれ間違った認識だったら、トレードが上手くいくはずがありません。
では、環境認識はどうすれば良いのでしょうか?初心者の方に向けた、環境認識の基礎、トレンドの目線について解説します。
※この記事では、初心者向けにダウ理論、とくに目線の付け方のみに絞って基礎中の基礎を解説しています。現役のトレーダーの方にとっては物足りない内容かもしれません。
もう一歩踏み込んだ環境認識については、エリオット波動やフラクタル構造と組み合わせて考えてみましょう。

FXにおける環境認識の大切さ
環境認識は、トレードを始めるときに最初に行う事、言わばウオーミングアップです。
たとえば、サッカーの試合。交代でピッチに出る選手がベンチから突然出場する事ってないですよね。ストレッチをして、軽く走って、体を温めてから出場します。そうしなければ、良いプレーが出来ないうえに大きな怪我に繋がるからです。
FXにおいても、環境認識は大怪我をしない為のストレッチです。相場は基本的には24時間動いています。ですから、私たちが行うトレードは途中出場の選手と同じです。
相場の流れも分からない、ウオーミングアップもしてない状況で、ベストな動きが出来るわけないのです。
「ダウ理論」って何?
相場の値動きの特徴を示した「ダウ理論」は19世紀に「チャールズ・ダウ」氏が提唱した理論です。
「ダウ理論」は2022年になった今日でも、FXだけでなく相場に関わる多くの人々に、テクニカル分析の基本として用いられています。
ダウ理論 ①平均はすべての事象を織り込む ②トレンドには3種類ある ③主要トレンドは3段階からなる ④平均は相互に確認されなければならない ⑤トレンドは出来高でも確認されなければならない ⑥トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する |
いきなりすべて理解出来なくて当然です。相場に触れていくうちに、「なるほどね!」って思うときが来ますから。
トレンド転換のシグナル
「ダウ理論」はすべて大事ですが、目線の付け方として注目して欲しいのは、⑥「トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する。」です。
少しくらい価格が上がろうと、反対の下がろうともトレンドは継続していると見做されます。では、何をもってトレンドの終わりと見るのでしょうか。
下の図でお伝えしていきます!

相場は高値と安値を作りながら上下に動きます。
上昇トレンドとは、基本的には高値と安値を切り上げながら上昇していくトレンドの事です。
下降トレンドでは、高値と安値を切り下げていきます。
では下の図のように推移をした場合、トレンドの向きはどちらでしょうか?

順当に高値と安値を切り上げながら価格は上昇しました。
ですが、「高値A」を作った後、「高値B」は高値を切り下げてしまってます。さらに「安値B」を抜けて下落しました。
高値を切り下げただけでは下目線とは言えません。では「安値B」を割ったあとはどうでしょう。
高値切り下げ、安値も切り下げた。トレンド転換!
と思う人もいると思います。
しかし、
「短期的には下落したけど、思ったほど下落が伸びない。」
ということも往々にしてあります。
それはなぜか?
1つは時間足の概念です。1時間足や4時間足で見た場合ではどう見えるでしょう。ただの押し目かもしれません。
もう一つは、直近最高値である「高値A」を作った押し安値「安値A」を割ってないという事です。
直近の最高値と、それを作った押し安値は特に意識されるラインです。

高値を更新できなかっただけで、トレンド転換だと思う人は少ないでしょう。
この時点では、まだ目線は上です。
「安値B」を割ったら下落を意識する人もいるかもしれませんが、私個人としては、上目線のグレーゾーンと見ています。現時点では、ダウ理論的に明確な転換シグナルとは言えません。まだ上目線ですよ。
ただし、最高値Aを作った「押し安値A」を割ったら、上昇ダウの否定になります。
ここで一旦は上昇トレンドはおしまいです。
ただし、上昇トレンドが終わったからと言って、じゃ下降トレンドが始まるの?というと、そういうわけではありません。
一旦レンジを作って、再度上昇という事もあれば、下降トレンドが発生することもあります。
明確な転換シグナルの発生は、トレンド⏩レンジ⏩トレンドを繰り返す相場の節目ということです。
トレンドを見るのポイント ・直近の最高値、最高値を作った押し安値 ・直近の最安値、最安値を作った戻り高値 |
実際のトレードでは、環境認識で方向感を定める他に、利確や損切り位置の目安にも使います。詳しくはこちらの記事を参照ください。

環境認識、とりあえずチャートを俯瞰的に見る
我々は地球上に暮らしているはずですが、その地球が丸いと実感する事ってほとんどありませんよね。
意識的に太陽の傾きや、夜空を見上げてみないと確認する事もできません。
チャートにおいてもトレードで見ている画面は、大きな相場の流れの極一部にすぎません。
自分が見ているのはチャート流れのどこなのか、相場のどこで勝負したいのかを把握しましょう。
相場の方向性|本当の目線はどっち?
目線の付け方は前述した通りですが、その方向性でトレードする前に、長い時間足で再確認しましょう。
相場の流れを見る基本は、長い時間足→自分がメインにトレードする時間足です。
USD/JPY 15分足

上のチャートはUSD/JPYの15分足、日付は12/23〜12/25くらいです。
23日の安値から、ダブルボトムをつけて上昇トレンドですが、24の12時過ぎに「押し安値」を割ってレンジになっています。
では長い時間足で見たらどうでしょうか。
USD/JPY 4時間足

こちらはUSD/JPY4時間足です。
11月末の急落から、前半の乱高下、その後12月半ばからは上昇トレンドですね。
ちなみに、上のUSD/JPY15分足は、この23日〜25日に当たります。
15分足だけでは、方向感が無いように見えましたが、4時間足では上昇トレンドの一部です。
USD/JPY 1日足

そして、日足では9月下旬以降は上昇トレンドが続いています。12月は押し目からの上昇です。こうして見ると、15分足は方向感無しですが、それ以外の長い時間足では上目線です。
15分足がたとえレンジ相場や下降トレンドであったとしても、4時間足や日足の方向が上なら、いずれは流れに飲まれる可能性が高いでしょう。
長い時間足ほど下位足に対する影響力が強いです。
全体の流れを把握する為にも、長い時間足から見ていく事をお勧めします。
目線の付け方と時間足 ・長い時間足(4時間足、日足、週足など)で長期的なトレンドの把握 ⏬ ・1時間足、30分足で直近の動きを把握 ⏬ ・短い時間足で、今日の値動きや相場を詳細に観察 |
まとめ
環境認識の基礎として、目線の付け方とトレンド転換のシグナルについてお話しました。
トレンドの方向を見る事は、簡単そうに見えてとても難しいです。
まずは相場を俯瞰的に見る事で、トレンドの方向性や通貨ペアのクセなどを見る事が出来れば、それだけで大きな武器になります。
トレードを行うかどうかは別にして、毎日環境認識をする事で習慣にしてしまいましょう。日々の積み重ねが上達の秘訣です。